1: 2016/03/10(木) 18:08:59.78 ID:CAP_USER.net
「MEG実験の最新成果」について | インフォメーション | ICEPP 素粒子物理国際研究センター International Center for Elementary Particle Physics
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/information/20160309.html


発表のポイント
ミューイーガンマ(μ→eγ)崩壊を4年間にわたり世界最高の実験感度で探索した。
多くの理論予想に反してミューイーガンマ崩壊は発見されず、その結果ニュートリノ振動の起源となる新物理と大統一理論に厳しい制限を課すことになった。
東京大学とKEKの研究チームが新しく開発した優れた素粒子検出器と、スイス・ポールシェラー研究所(PSI)の加速器が提供する世界最高強度の良質なミュー粒子ビームによって、以前の実験より約30倍高い実験感度を達成した。
MEG実験は終了したが、その経験を活かしたアップグレード実験MEG IIを現在準備中であり、来年よりさらに10倍実験感度を上げて実験を開始する予定である。


発表内容

研究の背景
これまで標準理論を超える新しい素粒子理論として大統一理論の研究が活発に行なわれてきた。
小柴昌俊特別栄誉教授が1980年代にカミオカンデ実験を始めたのは、陽子の崩壊を探索して大統一理論を検証するためであった。
大統一理論によると、宇宙開闢期には素粒子の相互作用は統一されており、それが破れることによりインフレーションを引き起こして現在の宇宙が誕生したと考えられる。
東京大学が1990年代にCERN(欧州合同原子核研究機構)で行なった国際共同実験により、超対称性を入れた新しい大統一理論が示唆され、現在標準理論を超える新物理の最有力候補となっている。
新しい大統一理論はスーパーカミオカンデ実験でも検証することは難しい。
1990年代後半に、標準理論で禁止されているミュー粒子のミューイーガンマ崩壊が大統一理論によって引き起こされることがR.バビエリらによって指摘された。
一方、1998年にスーパーカミオカンデ実験によって発見されたニュートリノ振動現象は、ニュートリノが質量を持つことを明らかにした。
ニュートリノの質量は他の素粒子に比べて極めて小さなものであり、これはニュートリノが他の素粒子とは異なるメカニズムによって質量を得たことを示唆している。
このメカニズムはシーソー機構と呼ばれ、M.ゲルマン・柳田勉らによって提唱された。
シーソー機構によると、宇宙誕生直後には極めて重いニュートリノの仲間が存在し、その崩壊によってその後宇宙は反粒子が消えて粒子だけになった可能性がある。
久野純治らは、重いニュートリノの仲間の存在がミュー粒子のミューイーガンマ崩壊を引き起こすことを指摘した。
このように大統一理論やシーソー機構はミューイーガンマ崩壊を予言するが、その確率はおおよそ1兆に1回程度であり、
そのように小さな確率で起こる素粒子の崩壊を測った実験はこれまでになく、既存の素粒子検出器を使った方法では不可能だとされていた。

本研究が新しく明らかにしようとした点
上記のように、大統一理論や、ニュートリノ振動の起源と考えられるシーソー機構は、およそ1兆に1回の確率でミュー粒子のミューイーガンマ崩壊が起こることを予言する。
この崩壊は標準理論では禁止されている。本研究では、新しく高性能の素粒子検出器を開発して、およそ1兆に1回しか起らないミューイーガンマ崩壊を発見し、大統一理論とシーソー機構の証拠を掴むことを試みた。
ミューイーガンマ崩壊が発見されれば、その崩壊確率と崩壊角度分布から大統一理論ないしはシーソー機構の痕跡を調べることが可能となる。
発見されなければ、大統一理論とシーソー機構という宇宙の始まりを記述する新物理のシナリオに大きな見直しを迫ることになる。

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引用元: 【素粒子物理学】ミュー粒子の崩壊から宇宙の始まりを探る 禁じられた崩壊を通してニュートリノ振動の起源と大統一理論に迫るMEG実験

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