1: 2015/08/29(土) 21:59:38.26 ID:???.net
共同発表:せっけんの構造をまねて高分子太陽電池の高効率化に成功~色素を高濃度で導入し、限界効率打破に貢献~
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/
画像
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/icons/zu1.gif
図1 色素の表面エネルギーと偏在する位置
上) シリコンフタロシアニン色素(SiPc)と高分子媒体の表面エネルギー。表面エネルギーは、BuSiPc6(橙色)<RRa-P3HT(黄色)<SiPc6(赤色)<PS(水色)<SiPcBz(青色)の順に大きな値を示す。
下) RRa-P3HT/PSブレンド膜に各色素を導入した時に、色素が偏在する位置:BuSiPc6はRRa-P3HTドメイン(黄色)、SiPc6はP3HT/PS界面(赤色)、SiPcBzはPSドメイン(水色)に偏在している。
すなわち、表面エネルギーが最も小さいBuSiPc6は表面エネルギーの小さなRRa-P3HTドメインに、表面エネルギーが最も高いSiPcBzは表面エネルギーが大きいPSドメインに、中間の表面エネルギーのSiPc6はP3HT/PS界面に偏在することを示している。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/icons/zu2.gif
図2 界面活性剤と今回開発した色素の類似点
左) せっけんのような界面活性剤は、水と親和性のある親水基と油分と親和性のある疎水基を持つことで、水と油分の界面に偏在する。
右) 今回新たに開発したSiPcBz6色素は、P3HTと親和性のあるヘキシル基とPCBMと親和性のあるベンジル基を軸配位子に持つ。界面活性剤と同様に、P3HTとPCBMの界面に偏在すると期待される。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/icons/zu3.gif
図3 今回の研究で用いた近赤外色素
左2つは従来から用いられている、2つの同じ軸配位子を持つホ◯構造色素(SiPc6,SiPcBz)。右は今回新たに合成した、異なる軸配位子を持つヘテロ構造色素(SiPcBz6)。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/icons/zu4.gif
図4 三元ブレンド高分子太陽電池の発電特性
上) 電流-電圧曲線:P3HT/PCBM二元ブレンド参照素子(黒)、P3HT/PCBM/SiPcBz(青色)、P3HT/PCBM/SiPc6(橙色)、P3HT/PCBM/SiPcBz6(赤色)三元ブレンド素子。ヘテロ構造色素を導入したP3HT/PCBM/SiPcBz6三元ブレンド素子(橙色)はP3HT/PCBM二元ブレンド参照素子に比べて、変換効率がおよそ3割向上している。
下) 外部量子収率スペクトル:P3HT/PCBM二元ブレンド参照素子(黒)、P3HT/PCBM/SiPcBz(青色)、P3HT/PCBM/SiPc6(橙色)、P3HT/PCBM/SiPcBz6(赤色)三元ブレンド素子。680nm付近の信号が色素由来の電流発生効率を表す。ホ◯構造色素(SiPcBz、SiPc6)に比べて、ヘテロ構造色素(SiPcBz6)の電流発生効率はほぼ倍増している。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/icons/zu5.gif
図5 ヘテロ構造色素SiPcBz6の合成スキーム
メチルキャップした1官能性シリコンフタロシアニン(a)を出発原料とし、ヘキシル基を軸配位子として導入した後(b)、UV照射によりメチル基を脱離し(c)、ベンジル基を軸配位子として導入した(d)。
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図1 色素の表面エネルギーと偏在する位置
上) シリコンフタロシアニン色素(SiPc)と高分子媒体の表面エネルギー。表面エネルギーは、BuSiPc6(橙色)<RRa-P3HT(黄色)<SiPc6(赤色)<PS(水色)<SiPcBz(青色)の順に大きな値を示す。
下) RRa-P3HT/PSブレンド膜に各色素を導入した時に、色素が偏在する位置:BuSiPc6はRRa-P3HTドメイン(黄色)、SiPc6はP3HT/PS界面(赤色)、SiPcBzはPSドメイン(水色)に偏在している。
すなわち、表面エネルギーが最も小さいBuSiPc6は表面エネルギーの小さなRRa-P3HTドメインに、表面エネルギーが最も高いSiPcBzは表面エネルギーが大きいPSドメインに、中間の表面エネルギーのSiPc6はP3HT/PS界面に偏在することを示している。
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図2 界面活性剤と今回開発した色素の類似点
左) せっけんのような界面活性剤は、水と親和性のある親水基と油分と親和性のある疎水基を持つことで、水と油分の界面に偏在する。
右) 今回新たに開発したSiPcBz6色素は、P3HTと親和性のあるヘキシル基とPCBMと親和性のあるベンジル基を軸配位子に持つ。界面活性剤と同様に、P3HTとPCBMの界面に偏在すると期待される。
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図3 今回の研究で用いた近赤外色素
左2つは従来から用いられている、2つの同じ軸配位子を持つホ◯構造色素(SiPc6,SiPcBz)。右は今回新たに合成した、異なる軸配位子を持つヘテロ構造色素(SiPcBz6)。
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図4 三元ブレンド高分子太陽電池の発電特性
上) 電流-電圧曲線:P3HT/PCBM二元ブレンド参照素子(黒)、P3HT/PCBM/SiPcBz(青色)、P3HT/PCBM/SiPc6(橙色)、P3HT/PCBM/SiPcBz6(赤色)三元ブレンド素子。ヘテロ構造色素を導入したP3HT/PCBM/SiPcBz6三元ブレンド素子(橙色)はP3HT/PCBM二元ブレンド参照素子に比べて、変換効率がおよそ3割向上している。
下) 外部量子収率スペクトル:P3HT/PCBM二元ブレンド参照素子(黒)、P3HT/PCBM/SiPcBz(青色)、P3HT/PCBM/SiPc6(橙色)、P3HT/PCBM/SiPcBz6(赤色)三元ブレンド素子。680nm付近の信号が色素由来の電流発生効率を表す。ホ◯構造色素(SiPcBz、SiPc6)に比べて、ヘテロ構造色素(SiPcBz6)の電流発生効率はほぼ倍増している。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150828/icons/zu5.gif
図5 ヘテロ構造色素SiPcBz6の合成スキーム
メチルキャップした1官能性シリコンフタロシアニン(a)を出発原料とし、ヘキシル基を軸配位子として導入した後(b)、UV照射によりメチル基を脱離し(c)、ベンジル基を軸配位子として導入した(d)。
ポイント
高分子太陽電池へ色素を導入することで、大幅な効率向上が期待されるが、色素の導入量には限界があった。
せっけんに似た構造の色素を開発し、高濃度導入に成功し、変換効率が約3割向上した。
今後、単セル素子で変換効率15%の実現が期待される。
JST 戦略的創造研究推進事業において、京都大学の大北 英生 准教授、伊藤 紳三郎 教授らの研究グループは、有機薄膜太陽電池の一種である高分子太陽電池に高濃度に導入できる近赤外色素を開発し、変換効率をおよそ3割(3.8→4.8%)向上させることに成功しました。
有機材料が吸収できる太陽光の波長幅は小さく限られていますが、可視光領域外の近赤外領域の太陽光を吸収できる色素(近赤外色素)を高分子太陽電池に高濃度で導入することで大幅な高効率化が期待できます。しかし、導入した近赤外色素が発電に寄与するには、ドナーである高分子材料とアクセプターであるフラーレンの界面に色素が存在する必要がありますが、色素を高濃度で導入すると、界面以外の領域に散在し、発電効率がかえって低下するという課題がありました。
大北准教授らは、せっけんの親水基と疎水基を同時に持つ構造をまねて、ドナー材料と親和性の高い軸配位子注1)とアクセプター材料と親和性の高い軸配位子を同時に持つヘテロ注2)構造の近赤外色素を開発しました。その結果、色素を重量比で従来の3倍導入することができ、変換効率もおよそ3割向上することに成功しました。
今回の研究成果により、次世代の太陽電池として注目されている高分子太陽電池の限界効率を引き上げることが可能であり、実用化の目安である変換効率15%をシンプルな構造の単セル素子注3)でも実現しうるアプローチとして期待されます。
本研究は、京都大学 大学院工学研究科の徐 華君 博士研究員、玉井 康成 博士研究員、辨天 宏明 助教、伊藤 紳三郎 教授と共同で行ったものです。
本研究成果は、2015年8月27日(英国時間)に独国科学誌「Advanced Materials」のオンライン速報版で公開されます。
続きはソースで
せっけんに似た構造の色素を開発し、高濃度導入に成功し、変換効率が約3割向上した。
今後、単セル素子で変換効率15%の実現が期待される。
JST 戦略的創造研究推進事業において、京都大学の大北 英生 准教授、伊藤 紳三郎 教授らの研究グループは、有機薄膜太陽電池の一種である高分子太陽電池に高濃度に導入できる近赤外色素を開発し、変換効率をおよそ3割(3.8→4.8%)向上させることに成功しました。
有機材料が吸収できる太陽光の波長幅は小さく限られていますが、可視光領域外の近赤外領域の太陽光を吸収できる色素(近赤外色素)を高分子太陽電池に高濃度で導入することで大幅な高効率化が期待できます。しかし、導入した近赤外色素が発電に寄与するには、ドナーである高分子材料とアクセプターであるフラーレンの界面に色素が存在する必要がありますが、色素を高濃度で導入すると、界面以外の領域に散在し、発電効率がかえって低下するという課題がありました。
大北准教授らは、せっけんの親水基と疎水基を同時に持つ構造をまねて、ドナー材料と親和性の高い軸配位子注1)とアクセプター材料と親和性の高い軸配位子を同時に持つヘテロ注2)構造の近赤外色素を開発しました。その結果、色素を重量比で従来の3倍導入することができ、変換効率もおよそ3割向上することに成功しました。
今回の研究成果により、次世代の太陽電池として注目されている高分子太陽電池の限界効率を引き上げることが可能であり、実用化の目安である変換効率15%をシンプルな構造の単セル素子注3)でも実現しうるアプローチとして期待されます。
本研究は、京都大学 大学院工学研究科の徐 華君 博士研究員、玉井 康成 博士研究員、辨天 宏明 助教、伊藤 紳三郎 教授と共同で行ったものです。
本研究成果は、2015年8月27日(英国時間)に独国科学誌「Advanced Materials」のオンライン速報版で公開されます。
続きはソースで
引用元: ・【エネルギー技術】せっけんの構造をまねて高分子太陽電池の高効率化に成功 色素を高濃度で導入し、限界効率打破に貢献 京大など
せっけんの構造をまねて高分子太陽電池の高効率化に成功 色素を高濃度で導入し、限界効率打破に貢献 京大などの続きを読む