1: 依頼36-151@白夜φ ★ 2013/08/03(土) 23:24:58.91 ID:???

超伝導体の物質設計に道を開く新たな理論計算手法の開発

ポイント
超伝導が発見されて100年経つが、いまだに高温超伝導体の設計は成功していない。
物質が超伝導体に転移する温度を、精密に理論計算する新手法を開発。
新たな高温超伝導体の物質設計が可能となり、新物質の探索や合成の加速に期待。


JST 課題達成型基礎研究の一環として、東京大学大学院工学系研究科(理化学研究所 創発物性科学研究センター 客員研究員)の有田 亮太郎准教授と同大学の明石 遼介 大学院生は、物質の結晶構造と構成元素の情報だけを用いて、超伝導体が超伝導状態に変化する転移温度を精密に評価する新理論計算手法を開発しました。

超伝導注1)が初めて観測されてから100年以上が経過しますが、超伝導状態に転移する温度(Tc )は一般的に絶対温度0ケルビン(セ氏-273度)近辺と非常に低く、その活用には液体ヘリウムなど高コストな冷却手段が必要で、社会的な応用は限られているのが課題です。

これまでに、銅酸化物高温超伝導体注2)や鉄系高温超伝導体注3)など、通常の物質に比べて比較的高いTc を持つ高温超伝導体が発見され、低損失大電力送電などの応用研究が行われていますが、実用化に向けては、さらにTc を高め、室温に近づけることが不可欠です。
ところが、これまで新たな高温超伝導体の探索は、試行錯誤しながら合成するしかなく、効率が悪い上に探索範囲も限られていました。
そのため、高温超伝導体のTc を理論的に正確に予測し、未知の有望な新物質の探索や新材料設計の効率を飛躍的に向上できる理論計算手法の確立が切望されてきました。

有田准教授らは、アルミニウムや鉛などの単純な超伝導体では、すでに「超伝導密度汎関数理論注4)」という計算法によってTc の高精度な予測が可能であることを基盤に、より複雑な発現機構を持つ高温超伝導体についてもTc の予測を可能とする計算法を開発しました。

本手法では、結晶の格子振動が単純な超伝導体の起源となるのに対し、物質中の電子集団の振動が高温超伝導発現の起源になりうることに着目して、超伝導密度汎関数理論に電子集団の振動を因子として加えています。
この手法を、常圧下で非常に低いTc を持つ一方で高い圧力下で急激にTc が上昇するリチウムに適用し、Tc の予測精度を検証したところ、既存手法では不可能であった理論計算によるTc の正確な評価に、世界で初めて成功しました。

本成果は、高温超伝導体のTc の予言に適用できる新理論計算手法の精度を実証したものです。
本手法で、超伝導密度汎関数理論を用いて正確なTc を見積もることができる物質の範囲が大きく広がり、新たな超伝導体物質を設計する指標が提示されるため、今後の材料探索や合成が一気に加速し、将来的には超伝導モーターや送電線の実現に資することが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Physical Review Letters」にオンライン版で近日中に公開されます。

-*-*-*- 引用ここまで 全文は記事引用元をご覧ください -*-*-*-

4

▽記事引用元 科学技術振興機構(JST)平成25年7月31日配信記事
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130731/index.html

*ご依頼いただきました。



【物理】超伝導体の物質設計に道を開く新たな理論計算手法の開発/東京大などの続きを読む