1: 2015/06/22(月) 18:11:51.01 ID:???.net
共同発表:大腸がん形成を促進する炎症因子としてプロスタグランジンE2-EP2受容体経路を発見-EP2を標的とした大腸がんの予防・進展抑制薬の開発に期待-
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150622/
画像
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150622/icons/zu1.gif
(前略)
<背景>
大腸がんは、罹患率、死亡率とも高いがんの1つで、世界的には年間120万人以上の方が新たに大腸がんと診断され、60万人以上の方が大腸がんで亡くなっている。日本でも、がんの部位別では、大腸がんが罹患率では男性で第4位、女性で第2位(2011年)、死亡者数では、男性で第3位、女性で第1位(2013年)のがんである。大腸がんの発生・進展には炎症が関係しており、古くから、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用が大腸がんの罹患リスクを低下させることが知られている。最近の解析によるとアスピリンを毎日服用すると大腸がんの罹患リスクが30%減少し、20年以上にわたってこれによる死亡率を低下させることが明らかになっている。
しかし、アスピリンなどのNSAIDsは胃腸管障害などの副作用があり予防のための投与に慎重を要する。また、これに代わるものとして開発されたCOX-2阻害薬も心血管障害を副作用として来し得るためその使用には制限がある。アスピリンなどのNSAIDs、COX-2阻害薬は、いずれも、生理活性脂質である一連のプロスタグランジン(PG)の合成を阻害して効果を発揮する。このことは、PG経路が大腸がんの発生・進展に関与していることを示しているが、その機序、とくに、PGがどのように大腸での炎症に関与してがんの発生・進展に関係するかは不明であった。大腸がんの促進に働くPGの種類とその作用機構が発見できれば、アスピリンに代わって大腸がんの発生・進展を安全に抑制する薬物の開発に繋がると期待されていた。
<研究手法・成果>
我々は大腸炎に伴い大腸がんを発症するモデルマウスを用いて、PG経路が大腸での炎症にどのように関与し、この経路がどのようにしてがんの発生・進展を引き起こすかを検討した。まず、各種PGのそれぞれの受容体を欠損した遺伝子改変マウスを上記モデルに適用して検討し、炎症性大腸がんの形成に寄与するPG受容体として、PGの一種であるPGE2の受容体の1つEP2を同定した。
続いて、がん組織内のEP2発現細胞を検討し、腸組織内に浸潤する主要な炎症細胞である好中球と、腫瘍細胞を取り囲むように存在している線維芽細胞(腫瘍関連線維芽細胞)がEP2を発現していること、この2つの細胞種でPGE2-EP2経路は周囲の細胞に刺激を与える様々なサイトカイン・ケモカインや細胞の増殖を助ける成長因子の発現を増加させることにより大腸がん形成を促進すること、これら細胞は自らPGを産生してこの経路をさらに増幅していることを明らかにした。
また、ヒト潰瘍性大腸炎に由来する大腸がん病理組織標本でもEP2が浸潤好中球や腫瘍関連線維芽細胞で発現していることを見出し、モデルマウスでの結果がヒトの病態へ応用できる可能性を示した。最後に、ここで見出したEP2の働きを抑制することが大腸がんの予防・治療に結びつくかを検討するため、選択的EP2阻害薬をモデルマウスに投与し、これが用量依存的に大腸での炎症とがん形成を抑制できることを明らかにした。これらの検討により、大腸がん発生・進展を促進する大腸での炎症反応がPGE2-EP2経路により制御されていることと、EP2を阻害することが大腸がんの治療戦略になりえることを明らかにした。
<波及効果>
本検討から、EP2が大腸がん発生・進展を抑制するための薬物の標的分子となりえることが明らかになった。このことから、現在使用されているNSAIDsやCOX-2阻害薬を超えた、副作用の少なく、より安全な新規の大腸がんの予防・進展抑制薬がEP2を標的分子とすることにより開発できると期待される。
<今後の予定>
EP2の働きを特異的に阻害する薬剤の開発により、大腸がんに対する新規の薬物治療法の確立を目指す。
詳細・続きはソースで
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150622/
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http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150622/icons/zu1.gif
(前略)
<背景>
大腸がんは、罹患率、死亡率とも高いがんの1つで、世界的には年間120万人以上の方が新たに大腸がんと診断され、60万人以上の方が大腸がんで亡くなっている。日本でも、がんの部位別では、大腸がんが罹患率では男性で第4位、女性で第2位(2011年)、死亡者数では、男性で第3位、女性で第1位(2013年)のがんである。大腸がんの発生・進展には炎症が関係しており、古くから、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用が大腸がんの罹患リスクを低下させることが知られている。最近の解析によるとアスピリンを毎日服用すると大腸がんの罹患リスクが30%減少し、20年以上にわたってこれによる死亡率を低下させることが明らかになっている。
しかし、アスピリンなどのNSAIDsは胃腸管障害などの副作用があり予防のための投与に慎重を要する。また、これに代わるものとして開発されたCOX-2阻害薬も心血管障害を副作用として来し得るためその使用には制限がある。アスピリンなどのNSAIDs、COX-2阻害薬は、いずれも、生理活性脂質である一連のプロスタグランジン(PG)の合成を阻害して効果を発揮する。このことは、PG経路が大腸がんの発生・進展に関与していることを示しているが、その機序、とくに、PGがどのように大腸での炎症に関与してがんの発生・進展に関係するかは不明であった。大腸がんの促進に働くPGの種類とその作用機構が発見できれば、アスピリンに代わって大腸がんの発生・進展を安全に抑制する薬物の開発に繋がると期待されていた。
<研究手法・成果>
我々は大腸炎に伴い大腸がんを発症するモデルマウスを用いて、PG経路が大腸での炎症にどのように関与し、この経路がどのようにしてがんの発生・進展を引き起こすかを検討した。まず、各種PGのそれぞれの受容体を欠損した遺伝子改変マウスを上記モデルに適用して検討し、炎症性大腸がんの形成に寄与するPG受容体として、PGの一種であるPGE2の受容体の1つEP2を同定した。
続いて、がん組織内のEP2発現細胞を検討し、腸組織内に浸潤する主要な炎症細胞である好中球と、腫瘍細胞を取り囲むように存在している線維芽細胞(腫瘍関連線維芽細胞)がEP2を発現していること、この2つの細胞種でPGE2-EP2経路は周囲の細胞に刺激を与える様々なサイトカイン・ケモカインや細胞の増殖を助ける成長因子の発現を増加させることにより大腸がん形成を促進すること、これら細胞は自らPGを産生してこの経路をさらに増幅していることを明らかにした。
また、ヒト潰瘍性大腸炎に由来する大腸がん病理組織標本でもEP2が浸潤好中球や腫瘍関連線維芽細胞で発現していることを見出し、モデルマウスでの結果がヒトの病態へ応用できる可能性を示した。最後に、ここで見出したEP2の働きを抑制することが大腸がんの予防・治療に結びつくかを検討するため、選択的EP2阻害薬をモデルマウスに投与し、これが用量依存的に大腸での炎症とがん形成を抑制できることを明らかにした。これらの検討により、大腸がん発生・進展を促進する大腸での炎症反応がPGE2-EP2経路により制御されていることと、EP2を阻害することが大腸がんの治療戦略になりえることを明らかにした。
<波及効果>
本検討から、EP2が大腸がん発生・進展を抑制するための薬物の標的分子となりえることが明らかになった。このことから、現在使用されているNSAIDsやCOX-2阻害薬を超えた、副作用の少なく、より安全な新規の大腸がんの予防・進展抑制薬がEP2を標的分子とすることにより開発できると期待される。
<今後の予定>
EP2の働きを特異的に阻害する薬剤の開発により、大腸がんに対する新規の薬物治療法の確立を目指す。
詳細・続きはソースで
引用元: ・【医学】大腸がん形成を促進する炎症因子としてプロスタグランジンE2-EP2受容体経路を発見 EP2を標的とした予防・進展抑制薬の開発に期待
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